別冊秋号 血圧
22 病態からみる血圧—褐色細胞腫
伊藤 裕之
1
,
河野 達郎
1
1東北医科薬科大学医学部 麻酔科学
pp.133-138
発行日 2019年9月14日
Published Date 2019/9/14
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200099
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症例
38歳の男性。身長170cm,体重67kg。生来健康であった。動悸,腹部違和感を主訴に受診した。初診時の血圧は193/110mmHgで,心電図上120回/minの洞頻脈だった。心エコー検査では異常を認めなかった。胸腹部CTで径79mmの右副腎腫瘍を指摘された。腫瘍の精査のため泌尿器科,内分泌内科を受診した結果,尿中アドレナリン300μg/日,ノルアドレナリン3503μg/日,ドパミン2212μg/日といずれも高値であった。また,123I-MIBGシンチグラフィでは,右副腎への集積像を認めるほかに明らかな異常はなく,褐色細胞腫と診断された。多発性内分泌腫瘍症やvon Hippel-Lindau病の合併は否定的であった。ドキサゾシン(α1遮断薬)2mg/日の内服を開始し,2週間で12mg/日まで漸増した。手術2日前から1500mL/日の等張液を輸液した。術前の血圧は110/68mmHg,心拍数75bpmであった。褐色細胞腫に対し腹腔鏡下右副腎全摘術が予定された。
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