別冊春号 2019のシェヘラザードたち
第26夜 開始はよいよい,中止は怖い 慢性疼痛のオピオイド治療—医原性疾患としてのオピオイド依存
山口 重樹
1
1獨協医科大学医学部 麻酔科学講座
pp.161-166
発行日 2019年4月19日
Published Date 2019/4/19
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200076
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誰も書けなかった慢性疼痛のオピオイド治療のやめかた
筆者は四半世紀にわたり痛みの診療に携わってきたが,いまだわからない,説明できない,教えられないことがある。非がん性慢性疼痛(以降,慢性疼痛)に対するオピオイド治療のやめかたである。
日本ペインクリニック学会の『非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン改訂第2版』の作成でワーキンググループ長を務めた筆者にも,それは非常に難しい問題である。ガイドラインの作成にあたって,筆者は慢性疼痛に対するオピオイド治療の先駆けである欧米のガイドラインをくまなく読んだ。しかし,オピオイド治療のやめかたに関する記載は“退薬症候の出現を防ぐために,緩徐に減量,中止する”のみである。
この問題については誰も書けなかった。そして,今後も誰も書けないだろう。
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