別冊春号 2018のシェヘラザードたち
第一夜 超緊急帝王切開術の麻酔は究極の麻酔!
浅井 隆
1
1獨協医科大学埼玉医療センター 麻酔科
pp.1-8
発行日 2018年4月18日
Published Date 2018/4/18
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200001
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麻酔科医にとって,“やりがいのある”麻酔の1つに緊急帝王切開術での麻酔があげられる。
緊急手術での麻酔はどの症例も,予定手術を受ける人への麻酔に比べ,より困難な条件下で行う必要がある。そのなかでも超緊急帝王切開術は,致死的状態になっている母子“2人”への麻酔を,確実に行うことが要求される。
予定手術を受ける患者への麻酔の場合にも,さまざまな問題が起こり得る。例えば,術前検査で心肺機能が低下していたり,誤嚥の危険性が高かったり,麻酔に影響されやすい症候群に罹患していたりしていることが判明したり,麻酔導入後に気道確保困難や急速な血圧低下が予測されたりする。これらの各症例のリスク因子については朝のカンファレンスなどで検討して,適切な麻酔法を慎重に決めているはずである。しかし,一刻一秒を争う超緊急帝王切開術での麻酔の場合,これらの術前検査と麻酔法の検討を瞬時に行い,直ちに麻酔の導入をしなければならない。
つぎの症例は,さまざまな人の体験談にもとづいてつくった架空の症例であるが,こういう症例にいつ何時遭遇するとも限らない。
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