特集 STI/HIV
Part 2 HIV
15.おさえておきたい日和見感染症(臓器別)③ 消化管疾患—CD4数が低いからといって,慌ててすべての検索をする必要はない
村上 義郎
1
,
大路 剛
1
Yoshiro MURAKAMI
1
,
Goh OHJI
1
1神戸大学医学部附属病院 感染症内科
pp.1003-1015
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901224
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HIV/AIDS患者は消化器症状を訴えることが多く,特に下痢症状は発展途上国では90%近く,欧米の先進国でも30〜50%のHIV/AIDS患者に生じる1)。また,嚥下時痛や嚥下困難感といった食道由来の症状も,10〜30%のHIV/AIDS患者で生じる2,3)。
HIV/AIDS患者は,血中のCD4陽性T細胞リンパ球数に応じて日和見感染症の頻度や想定する感染症が変化するが,消化管疾患における日和見感染症も同様に,CD4数に応じてその疫学は変化する。そして抗レトロウイルス療法(ART*1)が普及するなかで,日和見感染症による消化管疾患は減少傾向にあり,相対的に一般的な消化管疾患の割合が増加してきている4)。
STIとしての消化器感染症は他稿*2で述べているため,本稿ではAIDS指標疾患に含まれる日和見感染症のなかの消化管感染症を主に述べる。なお,治療についてはガイドラインをもとにまとめた章末の資料(1011ページ)を参考にしてもらいたい。内視鏡所見に興味がある場合は,引用文献を参照するか,内視鏡関連の医学雑誌を参照していただくのがよいだろう。
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