特集 STI/HIV
Part 2 HIV
14.おさえておきたい日和見感染症(臓器別)② 中枢神経疾患—臨床症状/経過,CD4数,画像的特徴の3つの軸で鑑別を絞り込む
北浦 慧
1
,
岡本 耕
2,3
Satoshi KITAURA
1
,
Koh OKAMOTO
2,3
1東京大学医学部附属病院 感染制御部
2東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 統合臨床感染症学分野
3東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部
pp.993-1002
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901223
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抗HIV療法が普及する以前は,ヒト免疫不全ウイルス感染症患者(以下HIV患者)における中枢神経感染症をはじめとする神経学的合併症の頻度は高く,30〜40%のAIDS*1患者で神経学的徴候を伴っていた1)。その後,抗HIV療法が普及するに従って,AIDS患者は減少し,中枢神経疾患の罹患率も減少傾向である2)。ただ,日本を含む多くの国で抗HIV療法へのアクセスが容易になった現在でも,AIDSの状態でHIV感染症と新たに診断される患者の割合は一定程度あり(日本では約3割),中枢神経疾患は重要な問題であることに変わりはない3)。
HIV患者における中枢神経疾患の鑑別は,感染症をはじめ多岐にわたり,免疫不全の程度〔≒CD4陽性Tリンパ球数(以下CD4数)〕に応じて異なる。病変の部位・サイズ,および病勢によっては,緊急の評価や介入が必要となることもある。
本稿では,HIV/AIDS患者における中枢神経疾患を疑った際のアプローチと,重要かつ代表的な鑑別疾患について概説する。
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