連載 病院管理フォーラム
■院内感染対策―医療監視の立場から・4
日和見感染症
桜山 豊夫
1
1東京都福祉保健局
pp.310-311
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101940
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「日和見感染症」という言葉があります.黄色ブドウ球菌,腸球菌,セラチアなどは,皮膚表面や腸内,あるいは環境中に常在していますが,健康人では,正常な免疫機構によって排除されるため,通常は重篤な疾患を起こすことはありません.また他の病原性を持った強い細菌などが存在する状況では,それらの菌との競争に勝てないことも病原性を示すことが少ない理由の1つです.しかし,手術後や消耗性疾患などで免疫力が低下した状態,さらには抗生物質が使用されて他の病原細菌が勢いのなくなった状態になると,これらの常在菌,環境菌が肺炎などの感染症を起こし,重篤になることがあります.身体や他の病原微生物に勢いがなくなった状態で,病原性を発揮するため「日和見」感染症と呼ばれるわけです.
健康人に病原性を示すことが少なく,院内感染の代表的な原因となります.旧来は,院内感染症=日和見感染症とする考え方もありました.
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