特集 臨床細菌検査
Ⅲ.疾患別検査の進め方
14.日和見感染
舟田 久
1
1金沢大学医学部第三内科
pp.1338-1347
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912032
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最近の医療の進歩は,基礎疾患を有する患者に日和見感染の増加をもたらし,これが患者管理の大きな障害となっている.日和見感染の臨床細菌検査といっても,検査法自体は一般感染症の検査法と基本的に同じであるが,病原体の種類が広範囲にわたり,通常,ヒトの皮膚や粘膜,病院内環境に常在する病原性の低い病原菌の感染が多いために,強毒な病原菌を検索する通常の細菌検査法と異なり,培養成績の読み方に多少とも困惑を感じることが多い.また,患者には疾患自体や治療による免疫抑制がかかるために感染徴候が明瞭でないうえに,感染過程が急激に進行して死に結びつきやすい.このため,日和見感染の臨床細菌検査にあたっては,適切な培養検体の採取,迅速な検査,適確な培養成績の読み方が治療上要求されるが,基礎疾患の病態と合併感染症の関係や症状の推移を全体的に把握したうえで,感染巣自体からの培養でなく,感染の波及が考えられる部位からの培養で原因菌を推定せざるをえないことも多い.
こうした点を考慮しながら,日和見感染に対する日常の臨床細菌検査の進め方を概説してみたい.人手や時間を要する研究室的検査法を避け,小規模の検査室でも十分臨床医の要求に応じられる検査法を述べることにする.
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