特集 透析診療のすべて
Part 3 透析診療におけるトラブルシューティングと合併症管理
【コラム⑪】中毒診療における血液浄化—8つのステップで実践力をつける
高野 敬佑
1
,
北村 浩一
1
Keisuke TAKANO
1
,
Koichi KITAMURA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 腎臓・内分泌・糖尿病内科
pp.518-525
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901162
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中毒診療における治療の四原則は,❶全身管理,❷吸収阻害,❸排泄促進,❹拮抗薬投与である。血液浄化は主に❸の排泄促進を目的とし,❶の全身管理にもかかわる。中毒診療での血液浄化は,その性質上,無作為化比較試験研究などを組むことが困難で,エビデンスは十分でない1)。しかし生理学・薬理学的な見地からは,血液浄化が有効と考えられる症例は確かに存在し,治療の1つの柱と考えられている。ただし,中毒症例の多くでは,血液浄化を要しているわけではない。2020年に米国で行われた中毒診療のうち,血液浄化が行われたのは0.1%であった2)。
血液浄化の適応は,患者状態,治療の有効性,コスト・副作用などをふまえて総合的に判断する必要がある。単に,薬物の血中濃度が高いから行う,薬物の透析性が良いから行う,というものではない。EXTRIP*1 workgroup*2が血液浄化の適応についてまとめており(表1),参考になる。
本稿では血液浄化の施行を検討するにあたり,ふまえるべきステップをまとめる。
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