特集 透析診療のすべて
Part 3 透析診療におけるトラブルシューティングと合併症管理
【コラム⑨】周術期の透析療法をどのように行うか?—末期腎不全患者が手術を行うことになった場合の計画
鍋島 正慶
1
Tadanori NABESHIMA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 集中治療部門
pp.506-509
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901160
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維持透析を行っている患者は年々増加しており,手術が必要となる患者も増加している。末期腎不全患者では,非腎不全患者に比べて周術期の死亡率や合併症の発症率が高い。手術の内容によって変わってくるが,周術期死亡のオッズ比(OR)は,下肢末梢血管や腹部大動脈瘤などの血管手術後で4.0〔95%信頼区間(CI)3.2〜4.9〕,整形外科術後で10.8(95%CI 7.3〜15.9)と高く1),また,周術期の心筋梗塞,感染症といった合併症のほか,輸血必要性や院内滞在日数の増加などが多くみられる2)。そのため,外科医や麻酔科医とも協働して周術期の計画を立てることが必要となってくる。
本稿では,末期腎不全患者が手術を行うことになった場合の,周術期の透析療法のタイミング,除水の目標,溶質除去,抗凝固薬の選択について考察する。
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