特集 心不全
Part 3:ICU,病棟での心不全管理
【コラム⑨】人工弁患者が急性心不全で入院してきたら?—人工弁とTAVIに関する心不全,トラブル
望月 泰秀
1
Yasuhide MOCHIZUKI
1
1昭和大学医学部 内科学講座 循環器内科学部門
pp.1026-1033
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900630
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「10年前に僧帽弁閉鎖不全症に対して弁置換術を施行された患者が,うっ血性心不全を呈して入院になった」「経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI*1)を3か月前に行った患者が,うっ血性心不全で運ばれてきた」。このような症例では心不全の通常の原因のみならず,人工弁機能不全の可能性も念頭におく必要がある。簡潔に言えば,人工弁位において弁狭窄がないか,弁逆流がないか,である。綿密な聴診に加え,心エコー図検査のカラードプラで,逆流の有無(弁周囲逆流も含め)を,連続波ドプラで弁通過血流速度の上昇の有無(術後のデータに比べて圧較差の上昇があれば狭窄を示唆する)をチェックする。
近年は,開心術に対する耐術能が悪い高齢者を中心に,重症大動脈弁狭窄症へのTAVIが多く行われるようになり,外科手術後とは違った合併症などの報告も増えてきた。本稿では人工弁に起こり得る機能不全を中心に,人工弁患者が心不全増悪で入院したときに考えるべき病態について整理し,今後も増加が予想されるTAVI後のトラブル(心不全,血栓,感染)についても述べる。
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