特集 身体診察
はじめに|身体診察,できていますか?—未来につながる,一生モノの身体診察学習をあなたに
北野 夕佳
1
Yuka KITANO
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター
pp.1-3
発行日 2022年9月20日
Published Date 2022/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900991
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私たちの世代の責務というべきプロジェクト
身体診察を,日々,自信をもって行えているという読者はどれほどいるだろうか。本特集を企画した私自身ですら,日常の多忙に流されて「全症例に」「網羅的で」「綿密な」「頭の先から爪の先までの」身体診察を行っているとは,決して言えない。しかし,これまでの日米の内科臨床トレーニングのなかで,必要な状況で身体所見をとり,それを評価できる,すなわち「患者に安全な医療を行える身体診察能力がある」という状態には,自分はなっていると思っている。
そのような私が,自分が受けてきたようなトレーニングを日本でも日常的に行えているだろうかと考えてみるとき,自施設ですら自信をもってそれが行えていないことを自覚し,自責の念に駆られることもしばしばであった。また,身体診察がおろそかにされているせいで,患者が不幸な転帰をたどった事例も多々経験した。このままではいけない,次の世代に「必要な身体診察は継続して行う」ことを伝えるのが私たちの世代の責務だ,と思いつつ,それができていないことに焦っていた。自分で模擬身体診察の動画を作るしかないかと思っていたところ,本特集のベースにもなった教材のプロジェクトに声をかけていただいた。
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