特集 膠原病2
7.抗リン脂質抗体症候群(APS)—血栓形成機序と診断,治療
横地 律子
1
Ritsuko YOKOCHI
1
1帝京大学ちば総合医療センター リウマチ内科
pp.93-114
発行日 2021年7月29日
Published Date 2021/7/29
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900864
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抗リン脂質抗体症候群antiphospholipid syndrome(APS)は,抗リン脂質抗体(aPL*1)として知られる,リン脂質結合蛋白質に対する自己抗体を持続的にもつ患者に発生する自己免疫機序による血管障害であり,その臨床的特徴は再発性の血栓症と妊娠合併症である1)。
診断には,ループスアンチコアグラント(LAC*2),抗カルジオリピン抗体(aCL*3),抗β2 glycoproteinⅠ(β2GPⅠ)抗体の3種類すべてを測定する必要がある。また,LACの測定には複数の検査があり,aCLとβ2GPⅠにはIgGとIgMが存在し,保険の適用も複雑なために混乱しやすい。さらに,分類基準を満たすには12週間の間隔を空けての持続的な陽性を確認する必要があるため,理解が難しい領域であろう。
本稿では,これらの必要性について理解を促すことを目的に,APSの全体像や血栓症,APSの特殊病態について述べる。
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