特集 膠原病2
8.妊娠と膠原病・リウマチ性疾患—プレコンセプションケア,妊娠中のモニタリング,授乳
金子 佳代子
1
Kayoko KANEKO
1
1国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 母性内科(膠原病・一般内科)/プレコンセプション・ケアセンター
pp.115-131
発行日 2021年7月29日
Published Date 2021/7/29
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900865
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近年の治療法の進歩により,膠原病・リウマチ性疾患患者が,病気と付き合いながら学業や仕事,結婚,妊娠・出産,子育て,介護などの日常生活を送ることが可能になった。また,ここ数年,国内外で生殖医療や妊娠・出産,更年期のケアに関するガイドラインが相次いで出版され,膠原病・リウマチ性疾患における妊娠・出産の話題が,一部の専門家の意見が尊重されるニッチな領域から,挙児可能年齢の女性にかかわるすべての膠原病専門医の間でオープンに論じられるような身近な話題になりつつあることを肌で感じている。ガイドラインに基づいた診療がなされることで,より多くの膠原病女性患者に妊娠・出産の機会がもたらされ,より自分らしく生きるための選択肢が広がるのは,臨床医として本当に喜ばしいことである。
一方で妊娠と出産をきっかけに,膠原病女性患者に,自身の病気が生命の危険を伴うものであることをあらためて思い知らされるような不幸が起こり得ることを,我々医療者は理解すべきである。患者自身,今の健康と生活を守るために「妊娠しない」という選択をする自由もあることを,我々は尊重しなければならない。
本稿では,今日の膠原病・リウマチ性疾患合併妊娠においてわかっていること,わかっていないことを,現場の視点を織り交ぜながら概説する。挙児可能年齢の膠原病患者を診療する際の参考にしていただけたら幸いである。
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