特集 抗血小板薬,抗凝固薬のすべて
10.妊婦・授乳婦に対する抗血小板薬,抗凝固薬の使い方—一律に禁止ではなく,有益性が上回る場合には適切な薬物治療を
小澤 梨紗子
1
Risako OZAWA
1
1聖路加国際病院 女性総合診療部
pp.593-602
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900706
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産婦人科診療,特に周産期診療において抗凝固薬を使用する場面は少なくない。妊婦は生理的に過凝固状態にあり,全妊娠期間において深部静脈血栓症(DVT),肺血栓塞栓症(PE)の発症リスクが高い。加えて,近年の女性のライフスタイルの変化から妊婦の高齢化が進み,合併症妊婦の割合が増加,妊娠中に何らかの薬物治療が必要となるケースも増えている。女性が妊娠を計画する段階から,妊娠・出産し授乳を行う産褥期まで,内科医が診療にかかわる機会も多くあるであろう。
本稿では,抗凝固薬や抗血小板薬のなかで,我々産婦人科医が妊娠・産褥期に一般的に使用する薬剤と内科医の先生が使用し得る薬剤,それぞれの妊婦・授乳婦に対する安全性のエビデンスを,国内外のガイドラインもふまえて提示する。
妊娠中,授乳中の薬物治療は,一律に禁止するのではなく,有益性が上回る場合には適切に行うことが重要であると考える。
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