特集 心不全
はじめに|心不全パンデミック時代の新教科書として—総合内科医には循環器力を,循環器医には総合内科力を!
平岡 栄治
1
Eiji HIRAOKA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科
pp.781-783
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900603
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今,求められる診療の在り方
筆者が米国で総合内科研修を受けた経験では,総合内科医やホスピタリストがほとんどの入院患者の診療にあたっていました。当然,循環器疾患も多数経験し,循環器教育が充実していました。病棟ローテーション中は他のコモンディジーズと並び,急性心不全,急性冠症候群(ACS),心房細動の患者を日常的に診療しました。一方,日本ではどうでしょうか? 総合内科医は,感染症,不明熱,身体症状症,診断学などはさかんに教育され,患者をみていますが,循環器診療についてはあまり必要とされず,教育もされていないように思われます。今後,高齢化が進むと,この状況のままというわけにはいかなくなります。
厚生労働省の報告によると,平成29年の循環器疾患死亡数は35万人,心疾患死亡数は20.4万人1)*1,平成26年の循環器疾患入院患者数は24万人,外来患者数は93万人です2)。心房細動患者数は約71万人(2005年データ)とされます。心不全外来患者は現在110万人で,さらに増加する3)とされるのに対し,循環器専門医数は約1.45万人で4),すべての循環器患者を専門医だけでケアするのは困難であると思われます。そうでなくとも現在でも,高齢者で肺炎とACSを合併して来院する患者,多臓器疾患で入院中に急性心房細動を発症したり,たこつぼ型心筋症になり心不全を合併するといった複雑な入院患者にもしばしば遭遇しています。
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