増刊号 診断基準とその使い方
IX.腎・尿路
21.糖尿病性腎症
大沢 源吾
1
1川崎医科大学・内科
pp.2164-2165
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222040
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■疾患概念と疫学
糖尿病病態が長年月持続したことに伴って起こった,細小血管症(microangiopathy)の一環としての主として糸球体の硬化性病変(diabeticglomerulosclerosis)に基づく,蛋白尿を主徴とした腎障害を糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)と呼んでいる.
なお,糖尿病の腎障害には糖尿病に特異性の高い糸球体硬化症や細動脈病変のほかに,非特異的ながら動脈粥状硬化症や腎盂腎炎なども高頻度に合併し(表),臨床症候的にこれらの病変を区別することが必ずしも容易でないし,多くの事例でこれらの腎病変が混在するという理由から,これらの病変を含めて糖尿病に伴う蛋白尿,浮腫,高血圧,高窒素血症などの諸症状を一括して糖尿病性腎症とよんでいる場合もある2).
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