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1996年,後にHospital Medicine領域において,エポックメイキングとなる1つの論文が世に出た。WachterとGoldmanらによって,New England Journal of Medicine(NEJM)誌に発表されたその論文のタイトルは,The Emerging Role of“Hospitalists”in the American Health Care System1)。この論文によって,初めて「ホスピタリスト」という言葉が世に知られることとなった。これは,入院患者in-patientと外来患者out-patientとをほぼ完全に分業するものであった。発表当時,世間一般の医師,特にプライマリケア領域の医師らに不評を買ったこのアイデアが,その後,全米各地に広がり,急速な勢いで発展するとは,当時誰も予想だにしなかったに違いない。
Wachterらは,ホスピタリストを「プライマリケア医が責任をもって外来患者を管理するのと同様に,責任をもって入院患者を管理する,病院内内科管理のスペシャリスト」1)と定義している。かつてそのアイデアに批判的であったプライマリケア医たちも,現在はその多くが自分たちの入院患者をホスピタリストに委託し,自らはオフィスでの外来患者管理に集中している。
本稿では,15年以上前にそのコンセプトが発表されて以来,急速に発達し,米国医療に根を下ろしたこのホスピタリストと,その専門領域であるHospital Medicine,これらの発祥とその歴史的背景,定義,利点と問題点,年数を経た現状,そして,それによって浮かび上がってきた課題などに,文献的考察と筆者自身の経験もふまえ,スポットを当てる。
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