特集 感染症
12.CD腸炎—各検査の特性を理解し,治療適応を考える
森岡 慎一郎
1
,
倉井 華子
1
Shinichiro MORIOKA
1
,
Hanako KURAI
1
1静岡県立静岡がんセンター 感染症内科
pp.269-273
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900436
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クロストリジウム・デフィシルClostridium difficile(CD)は,抗菌薬関連下痢症の原因微生物として最も頻度が高い。以前は偽膜性腸炎やクロストリジウム・デフィシル関連腸炎Clostridium difficile-related diarrhea(CDAD)とよばれていたが,現在ではクロストリジウム・デフィシル感染症Clostridium difficile infection(CDI)とよばれている。健常人の約2%,一般病床入院患者の約20%がCDを保菌している1, 2)という報告がある。CDを保菌していても,正常な腸内細菌叢が栄養素を消費し,CDは増殖することができない。しかし,抗菌薬の使用により正常な腸内細菌叢が変化すると,CDが増殖し,産生されたトキシンにより下痢をきたす。臨床症状は,無症状,軽症な下痢から中毒性巨大結腸症までさまざまである。CDに感染した入院患者の自然経過を図1に示す3)。約半数が無症候性キャリアとなり,約半数でCDIを発症し,発症者のうち5〜40%で再発を認める。なお,CDIを発症した患者に関しては隔離を行う必要がある。CDIが患者自身の保菌から抗菌薬使用により発症するだけでなく,院内感染症として伝播することがある4)ためである。
以下,CD腸炎の診断,治療,感染対策をはじめ,そのマネジメントのポイントを示す。
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