特集 外来における予防医療
はじめに|すべてのホスピタリストに贈る,エビデンスに基づいた予防の知識
小嶋 一
1
Hajime KOJIMA
1
1手稲家庭医療クリニック
pp.275-276
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900237
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■不足している予防医療実践の知識を補う
病院での急性期医療を中心に担うホスピタリストにとって,外来における予防医療は優先順位が低くなりがちではないだろうか。予防が大切という認識はあれど,ガイドラインや個々の論文レベルのエビデンスのアップデート,個別のリスクを考慮したうえでの優先順位決定や,実現可能性を加味した効率的定期外来診療への組み込みは,一筋縄では実践できない。特に病棟における急性期医療のセッティングを想定した意識のまま,過剰な予防医療が施されている場面に遭遇することは多い。不必要な検査,不必要な投薬,過剰な放射線曝露などによる患者の不利益,あるいは不適切な「予防医療」の弊害は正しく評価されているだろうか?
系統立てられた予防医療実践の教育は,まだまだ現場では実施されていない。その内容も施設ごとに差異のあるところであろう。本特集は,研修医には自分の足元を見つめるための情報源として,指導医には指導の基礎となる予防医療の考え方そのものをも示す概説書として構成した。
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