特集 循環器疾患1
6.急性心筋梗塞の定義と病態生理—ホスピタリストが共通言語として理解しておくために
島田 悠一
1
Yuichi SHIMADA
1
1Massachusetts General Hospital, Cardiology Division
pp.677-685
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900225
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
心筋の虚血を表現する言葉にはさまざまなものがあり,臨床の現場ではそれらが入り混じって使用されている。例えば,急性冠症候群(ACS),不安定狭心症(UAP),非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI),ST上昇型心筋梗塞(STEMI)などである。また,2007年にAHA/ACC1)*1は心筋梗塞を再定義し,Type 1からType 5までに分類しており,循環器内科医の間ではよく使われるようになってきている。これらはそれぞれ病態生理が異なり,治療方針,予後と密接にかかわるため,特にホスピタリストと循環器内科医が議論しながら治療方針を決めていくときには,お互いがその定義と概念を理解していることは非常に重要である。しかしながら,それぞれが似たような病態に対応していたり,重複していたりすることもあり,理解が難しいこともまれではない。
このような現状をふまえて,本稿ではホスピタリストが循環器内科医との共通言語として理解しておくべき用語を取り上げ,循環器内科医がそれぞれの用語を用いた場合にどのような病態を想定し,どの程度の緊急性があると判断しているのかについて解説する。特に重点をおくのは「心筋梗塞の定義」「Type 1心筋梗塞とType 2心筋梗塞の違い」「安定狭心症とACSの病態生理の違い」の3点である。
Copyright © 2015, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.