特集 代謝内分泌
6.甲状腺機能低下症—「病因」と「機能〜病態」の二次元的把握に加え,各病型ごとの特徴的変動の理解が重要
田中 祐司
1
Yuji TANAKA
1
1防衛医科大学校 総合臨床部
pp.77-83
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900132
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甲状腺機能低下症は,甲状腺ホルモン欠乏により易疲労感,耐寒能低下,浮腫などの代謝低下症状をきたす。頻度が高く1),治療法が確立しており,症状・所見から本疾患を想起できれば診療は容易であるが,原因不明ないし原発性の高脂血症,肝機能障害,筋疾患などとして見逃されることがある2, 3)。甲状腺におけるホルモン産生・分泌に一次的な異常のある原発性と,上位中枢に原因のある中枢性(続発性)に大別される。前者では,特に自己免疫性の慢性甲状腺炎(橋本病)が主要であるが,病型により治療上の留意事項や目標が異なるため,病型把握は必須である。粘液水腫性昏睡は,致死率が20%前後に及ぶ,甲状腺機能低下症の最も重篤な病態である。一方,ごく軽度の甲状腺機能低下症は潜在性甲状腺機能低下症とよばれる。なお,いずれの病型の診断においても,nonthyroidal illness syndrome(NTI)とよばれる病態(甲状腺外の疾患時に引き起こす生理的反応)が鑑別上,問題となる。
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