特集 Respiratory ECMO 2.0
ECMO合併症を治療段階で整理する
❺ —維持期—御せよ!ECMO装置のトラブル—サーキットチェックを制する者はECMOを制す
濱口 純
1
Jun HAMAGUCHI
1
1東京都立多摩総合医療センター ECMOセンター
キーワード:
サーキットチェック
,
回路内圧
,
ハンドクランク
,
回路交換
Keyword:
サーキットチェック
,
回路内圧
,
ハンドクランク
,
回路交換
pp.355-366
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201190
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はじめに
ECMO(体外式膜型人工肺)管理における至上命題は,「トラブルなく安定した状態でECMO装置を駆動すること」である。しかし,ECMOは機械が介在する治療であることから,装置に関連するトラブルをすべて回避することは困難であり,実臨床の現場でもしばしば遭遇し得る。ECMO装置に関連したトラブルについては複数の報告1〜6)がある。
Vaquerら3)による12の研究,1042例を対象としたメタ解析では,機械合併症10.9%〔95%信頼区間(CI)4.7〜23.5〕,そのうち人工肺異常12.8%(95%CI 7.1〜21.7)と最多であったと報告されている。ECMO装置に関連したトラブルの多くは,迅速に対処しなければ緊急停止などの重篤な合併症へとつながり得る。故に,危機的状況に至る前に予防措置を講ずることが重要となる。そのためには,ECMO装置を定期的に確認(サーキットチェック)する体制を整備し,ECMO管理の中心となる医師,看護師,臨床工学技士の3職種が回路の異常を検知し,適切に対応できる能力を有している必要がある。
本稿では,ECMO回路を包括的に確認するサーキットチェック手法,ECMOのバイタルサインとも言える回路内圧の理解,そしてその変化から推測できるトラブル,ならびにその対処方法について解説する*1。
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