連載
え? 知らないの?吸入一酸化窒素療法
伊藤 朋晃
1
,
上岡 晃一
2
1小倉記念病院 臨床工学課
2東京医科大学病院 臨床工学部
pp.312-316
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201181
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吸入一酸化窒素inhaled nitric oxide(iNO)療法は,酸素療法や人工呼吸器管理下で,酸素に一酸化窒素nitric oxide(NO)を微量添加することにより,NOの肺血管選択的拡張作用を利用した治療法である。窒素ガス管理システム(図1)を用いて,800 ppmのNO/窒素ガス混合ガス(アイノフロー®吸入用)を空気または酸素で希釈し,必要な吸入濃度(通常2〜40 ppm)に調整して投与する。
日本人患者を対象とした近年の研究において,iNO療法が心臓手術に伴う周術期肺高血圧症における血行動態と酸素化を改善する効果的な戦略であることが示唆されている1)。また,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による急性呼吸窮迫症候群(ARDS)症例においても,iNO療法が低酸素血症および全身酸素化の改善に寄与する可能性が報告されている2)。
本稿では,iNO療法の生体への効果を概説し,特に肺高血圧症と右心機能の観点から論じる。
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