特集 気道
はじめに:コントロールされた恐怖心
則末 泰博
1
Yasuhiro NORISUE
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 集中治療部門
pp.623-624
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200677
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恐怖を感じる何かと対峙した時,人間の対処パターンはその恐怖が大きければ大きいほど極端な2つの形に分かれるように思われる。一つ目は徹底的に避けること。もう一つは,覚悟を決めてその恐怖の対象を深く理解し,抱擁することである。おそらくその中間にいる人は,その対象をそれほど恐ろしいものと感じていないのであろう。
さまざまな医療行為のなかでも,気道管理は特に怖いものである。一歩間違えば,患者の疾患とは関係なく「自らのスキル不足が原因となる患者の死」が大きな口を開けて待ち構えている。そして,そのような取り返しのつかない事態は,しばしばその恐ろしさを認識していない医療従事者に降りかかってくる。自らは,気道管理にかかわることを避け,必要に応じて気道管理に精通した麻酔科医,救急医,集中治療医などに依頼することは,患者の安全のために賢明な選択肢の一つである。しかし,本特集を手にしている読者は,気道管理にかかわらざるを得ない,または依頼される立場の人たちであろう。
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