特集 中毒
Part 2 診断と治療のアプローチ
【コラム】臨床医が最低限知っておくべき薬毒物分析の基本
藤田 友嗣
1
,
臼井 聖尊
2
Yuji FUJITA
1
,
Kiyotaka USUI
2
1岩手医科大学救急・災害・総合医学講座 救急医学分野/高度救命救急センター 薬物毒物検査部門
2東北大学大学院医学系研究科 公共健康医学講座法医学分野
pp.568-570
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200414
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“What is there that is not poison? All things are poison and nothing is without poison. Solely the dose determines that a thing is not a poison”
「すべての物質は毒物であり,毒性を示すかどうかは摂取量で決まる」と毒物学の祖Paracelsus(パラケルスス)は述べている。生体に害を及ぼす化合物は数かぎりなく存在し,その用途も多岐にわたる。自殺目的での薬毒物摂取による中毒だけではなく,犯罪目的での使用にも遭遇するため,薬毒物分析の需要は高い。中毒起因物質の特定には機器分析による同定が必要だが,同定するには臨床的に考えられる起因物質の推定が不可欠である。本邦には薬毒物分析に携わる専門家,中毒診療の知識をもつ臨床医の双方とも決して多くないため,分析結果の検証はもちろん,同時に情報を共有・蓄積し,未来の治療に活かすことが重要である。本稿では,臨床医が知っておくべき薬毒物分析の基本について述べる。
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