特集 輸液・ボリューム管理
Part 2 各論
4.腎不全の輸液管理—AKIの予防と維持透析患者の急性期入院時の管理
今井 直彦
1,2
Naohiko IMAI
1,2
1聖マリアンナ医科大学 腎臓・高血圧内科
2川崎市立多摩病院 腎臓・高血圧内科
pp.385-401
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200392
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“腎不全”の輸液管理は,急性腎傷害acute kidney injury(AKI)の輸液管理と慢性腎臓病chronic kidney disease(CKD)の輸液管理に大別される。AKIの輸液管理は,AKIの予防を目的とした輸液管理とAKI発症後の輸液管理とに大別される。そしてその輸液管理は,輸液製剤の選択と輸液量が重要である。AKIはその予防が最重要であり,本稿ではICU患者におけるAKI,横紋筋融解症,そして造影剤腎症の予防を目的とした輸液管理を中心に概説する。そしてCKDの輸液管理は,特に末期腎不全患者である維持透析患者の急性期入院時の輸液管理について概説する。
Summary
●敗血症患者において,AKI予防を目的としたHES含有製剤の投与は避けるべきである。また,アルブミン製剤を晶質液輸液に優先して投与することは推奨されない。
●AKI発症後に,体液過剰の治療以外を目的としたループ利尿薬の投与や,AKIの治療を目的としたANPの投与は行わない。
●heme pigment AKIの予防はCK>5000U/Lで考慮する。炭酸水素ナトリウム輸液の生理食塩液に対する優位性は確立されていない。
●造影剤腎症の予防を目的とした炭酸水素ナトリウム輸液の生理食塩液に対する優位性は確立されていない。現時点では生理食塩液の投与を行えばよい。
●維持透析患者の輸液管理において,ドライウェイトを知ることは不可欠である。しかし,急性期入院時には従来のドライウェイトをそのまま用いることはできない。
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