特集 内科診療にガイドラインを生かす
腎・泌尿器疾患
急性腎障害(AKI)
佐々木 彰
1
,
河原崎 宏雄
2
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院腎臓高血圧内科
2稲城市立病院腎臓高血圧内科
pp.230-236
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107110
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過去に急性腎不全(acute renal failure:ARF)と認識された疾患群は,RIFLE(risk, injury, failure, loss, end-stage kidney disease)分類1)およびAKIN(acute kidney injury network)分類2)によりAKI(acute kidney injury)と定義され,ここ数年で急激に普及してきた.以前は異なる研究者間で異なるARFの定義のもとで,研究されてきたため,研究評価や比較が困難であったが,AKIの定義後は共通概念のもと,多方面からの研究報告が著しく増加し,注目を集めている.
昨今のAKI研究は,「早期にAKIを診断し,治療することの重要性」,「一過性のAKIの経過であっても長期予後が不良であること」など,臨床的にきわめて重要なトピックスを多数示してきた.早くAKIを認識し,多様な病態に即した適切な治療を行うことのみならず,AKIリスクが高い患者への予防を含めたマネジメントが求められるようになってきている.また,発症メカニズムの解明や早期診断のためのバイオマーカーの不足をはじめ,さらなる知見が欲される分野も多く,AKIを取り巻く環境は,今後も目まぐるしく変化していくものと思われる.
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