増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
8 腎機能障害
急性腎障害(AKI)
岡田 浩一
1
1埼玉医科大学医学部腎臓内科
pp.146-149
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205623
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疾患の概要
腎機能が急速に悪化し,体液の恒常性維持が障害される急性腎不全(acute renal failure : ARF)は,腎機能予後のみならず生命予後も悪化させる重篤な病態であり,統一された定義や診断基準が存在しなかったため,診断と治療介入がランダムとならざるを得ず,治療効果が不十分となり予後の改善には結びつかなかった.また,臨床研究でのARF発症率やARF症例の死亡率などの疫学的検討や,治療に関する臨床試験間の比較が困難であった.
そこで,2004年にARFに代わりより早期の段階の腎障害を含めた急性腎障害(acute kidney injury : AKI)という概念がRIFLE基準とともに発表され,2007年にはAKIN基準が,さらに2012年にはKDIGOによるKDIGO基準が提唱された.現在までのところ,KDIGO基準による診断が最も的確にAKI症例を検出できるとされており(表1),この診断基準に沿ったAKIの早期診断,早期介入が腎機能予後および生命予後を改善させるものと期待される.
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