特集 ICUにおける神経内科
Part 1 神経症候に対する診断と治療アプローチ
2. 呼吸不全への診断アプローチ—神経筋疾患をいつ疑い,どう診断するか
米澤 直樹
1
,
武居 哲洋
1
Naoki YONEZAWA
1
,
Tetsuhiro TAKEI
1
1横浜市立みなと赤十字病院 集中治療部
pp.755-767
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200318
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ICUにおいて,神経筋疾患による急性呼吸不全の経験症例数は多くないため,その鑑別疾患や病態の把握には苦慮すると思われる。ここで言う神経筋疾患とは,末梢神経から筋にかけて病変を有する疾患,すなわち,ニューロパチー,神経筋接合部疾患,筋疾患を指す。ただし,筋萎縮性側索硬化症amyotrophic lateral sclerosis(ALS)を代表とするいわゆる運動ニューロン疾患については,他の神経筋疾患との共通点も多いため,ここに含めるものとする。神経筋疾患による急性呼吸不全を疑う症例に遭遇したときの解剖学的な診断アプローチについては,2013年の本誌に秀逸の総説1)があるので参考としていただきたい。
Summary
●急性呼吸不全を呈する神経筋疾患は,急速進行性の代表疾患であるGBSやMGに限らず,緩徐進行性に分類されるALSや筋炎など多岐にわたる。
●呼吸不全発症のメカニズムには,球麻痺,呼吸筋筋力低下,肺合併症の3つが絡み合っており,その正確な評価はその後の呼吸管理に重要である。
●ICUに入室した原因不明の急性呼吸不全を診た場合,Ⅰ型,Ⅱ型にかかわらず神経筋疾患の存在を念頭におく必要がある。
●神経筋疾患に伴う急性呼吸不全の予測に身体所見の組み合わせは最も有用であり,呼吸機能検査では肺活量が最も有用である。
●近年,一部の神経筋疾患による急性呼吸不全に対するNIVの有用性が示唆されている。
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