特集 心臓血管外科 前編
術式別に学ぶ心臓血管手術:弁膜症と不整脈
6.感染性心内膜炎に対する手術適応とタイミング
真鍋 晋
1
Susumu MANABE
1
1土浦協同病院 心臓血管外科
pp.765-773
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200217
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感染性心内膜炎infective endocarditis(IE)は,集中治療の現場においても見逃してはならない重要な疾患の1つである。例えば,重症心不全や脳梗塞の患者で入院当初から強い炎症所見がみられたり,敗血症性ショックの患者の原発巣が明らかでない場合など,本疾患も鑑別の1つとして考慮にいれておく必要がある。というのも,感染性心内膜炎は死亡率が高く,また脳梗塞など容体が急変する可能性もあり,見逃せば重大な事態をまねくからである。
では,こうした症例では診断のためには何が必要で,初期対応として何をすればよいのだろうか。手術を行うかどうか。手術のタイミングはどうすればよいのか。ガイドラインには,具体的で詳細な治療戦略が提示されており大変参考になる。しかし,実際の症例はバラエティーに富んでおり,そのままガイドラインの治療指針が当てはめられるわけではない。治療現場では,さまざまな臨床知見を参考に,個々の症例に応じた治療戦略をその都度構築しているのが実情である。本稿では,治療方針の根拠となった臨床試験を紹介しつつ,感染性心内膜炎を治療していくうえで基本となる考え方を解説する。
Summary
●感染性心内膜炎は現在でも,入院死亡率,重篤な合併症発症率がともに高い。
●心不全,高塞栓リスク,抵抗性感染症例では,常に手術のタイミングを検討する。
●手術死亡率は8〜10%とやや高く,術後は約半数の症例で合併症を認める。
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