特集 心臓血管外科 前編
術式別に学ぶ心臓血管手術:弁膜症と不整脈
1.大動脈弁手術
阿部 恒平
1
Kohei ABE
1
1聖路加国際病院心血管センター 心臓血管外科
pp.707-719
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200210
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人口の高齢化に伴い大動脈弁手術は年々増加傾向にあり,その数は2012年の日本胸部外科学会年次報告1)では12500例あまりと,弁疾患手術のなかで最も大きな割合を占めている。外科的な治療方法には弁置換術と弁形成術があるが,依然として弁置換術が標準的治療であり,弁形成術は全体の3.9%にとどまっている。本稿では,大動脈弁疾患の病態生理,治療適応,治療方法および術後管理の要点について述べる。
Summary
●大動脈弁手術は,弁疾患のなかで最も多い手術である。
●大動脈弁形成術の成績は安定しつつあるが,弁置換術と比較して再手術回避率が低く,また,心機能や予後を改善させるエビデンスがなく,依然として弁置換術が一般的である。
●大動脈弁手術特有の合併症として,patient prosthesis mismatch(PPM)や房室ブロックなどがある。
●弁輪拡大はPPMを回避するために行われてきたが,人工弁の改良により同じ大きさの弁でも有効弁口面積が広くなり,その必要性は低下している。
●最近の臨床試験で一部の機械弁が,低用量ワルファリン(PT-INR1.5〜2.0)でコントロール可能なことが証明された。
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