徹底分析シリーズ 臨床で本当に使えるTEE—こころをどう読むのか
周術期コミュニケーションツール:互いのこころを読むTEE—僧帽弁形成術の場合
藤田 信子
1
,
阿部 恒平
2
Nobuko FUJITA
1
,
Kohei ABE
2
1聖路加国際病院 麻酔科
2聖路加国際病院心血管センター 心臓血管外科
pp.38-47
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201558
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
僧帽弁形成術の麻酔をする日は心がウキウキする。それは,的確な経食道心エコーtransesophageal echocardiography(TEE)の評価および麻酔科医と心臓外科医のコミュニケーションスキルが患者アウトカムの向上に直結する術式であり,やりがいもいっそう増すからである。正確なTEE評価ができることも重要だが,それ以上に,その所見を外科医に伝えるスキル,時にはその所見をもとに外科医と一緒に議論するスキルが必要である。
僧帽弁形成術前に経胸壁心エコー検査しか行わない施設もあるだろう。また,術前ルーチンでTEE検査が施行されている場合でも,検査日から手術まで間があれば,所見が変化していることも少なくない。全身麻酔下でゆっくり観察することで新たな所見が見つかることもあり,全身麻酔導入後のTEE所見は形成術成功への鍵となる。TEEを含めた執刀前評価は外科医にとって,旅に必須の地図である。麻酔科医は,より鮮明で正確な地図を外科医に手渡す役目を担っている。
Copyright © 2020, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.