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気管吸引の標準化を目的として日本呼吸療法医学会が2007年に発表した気管吸引ガイドライン初版が「気管吸引ガイドライン2013」1)として刷新された。本ガイドラインにおける気管吸引の適応患者は,成人で,人工気道を有する患者であり,自身で気道分泌物を喀出できない状態の者である。ICUで治療を受ける患者の多くは気管挿管や気管切開をほどこされており,気管吸引は日常的なケアとして施行されている。しかし,ガイドラインができるまでは,各施設により手技がまちまちであったり,前はこうしていたというだけで施行されていたりといった現状であった。今後は,ガイドラインが発表されたことによって,気管吸引がより安全かつ標準化された手技になっていくもの,と考えられる。
「気管吸引ガイドライン2013」では,新たな知見をふまえてさらに踏み込んだ内容が盛り込まれている。本稿では,このガイドラインに沿って,新たに明らかになった点などに焦点を絞り,エビデンスに基づいた解説を行い,気管吸引の現状と今後の展望について考察する。
Summary
● 気管吸引は,患者アセスメントの結果から必要と判断された場合にのみ行い,不必要に一定時間ごとに施行すべきではない。
● 開放式吸引と閉鎖式吸引との比較において,分泌物除去という点では,どちらが有効かは不明である。しかし,合併症としての低酸素血症の予防という点では閉鎖式のほうが有利と考えられている。
● 気管吸引に伴う合併症を予防するために最も重要なことは,愛護的な吸引手技の実施である。
● ガイドラインに従った吸引手技により合併症が減少したとする報告があり,気管吸引ガイドラインを参考にしたスタッフ教育が重要である。
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