特集 神経集中治療
【コラム】コントロールできない頭蓋内出血に対するrFⅦa製剤の使用―適応外使用における有効性と安全性
尾田 琢也
1
Takuya ODA
1
1飯塚病院 総合診療科
pp.591-597
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100565
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遺伝子組み換え活性型第Ⅶ因子(rFⅦa)製剤は,止血薬として広く使用されている。しかし,その適応疾患はわずか3種類であり,現在使用されているrFⅦa製剤の大半は,適応外使用であると考えられる。神経集中治療領域でもコントロールできない頭蓋内出血に対して使用されているが,これも適応外使用に該当する。適応外使用であるがゆえに,投与量も投与法もコンセンサスは得られていないなか,頭蓋内出血に対する使用は,果たして有効であるのか,安全性に問題はないのか。本稿では,適応外使用に関する有効性と安全性のエビデンスについて概説する。
Summary
●rFⅦa製剤は,インヒビターを保有する血友病患者,先天性第Ⅶ因子欠乏症患者,Glanzmann血小板無力症患者にのみ保険適用を有する止血薬である。
●近年,rFⅦa製剤の適応外使用が増加しているが,投与量や投与方法に関する一致した見解は得られていない。
●脳出血患者に対して,rFⅦa製剤を投与すると,血腫増大を抑制することは可能であるが,死亡率も機能予後も改善されない。
●適応疾患に対して使用される場合と異なり,適応外疾患に使用された場合,血栓塞栓症の有害事象が増加する。
●現時点では,コントロールできない頭蓋内出血に対して,rFⅦa製剤を有効かつ安全に使用できるエビデンスは乏しい。
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