特集 神経集中治療
【コラム】凝固障害―コントロールできない頭蓋内出血
伊藤 英道
1
,
田中 雄一郎
1
,
松本 純一
2
Hidemichi ITO
1
,
Yuichiro TANAKA
1
,
Junichi MATSUMOTO
2
1聖マリアンナ医科大学 脳神経外科
2聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.586-590
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100564
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
心原性脳塞栓症に行う抗凝固療法や,脳血栓症,虚血性心疾患などに対する抗血小板療法は,その再発予防効果にエビデンスがあり,必要不可欠な治療法である。なかでも抗血栓療法による脳梗塞の再発予防効果は出血性脳卒中の発生リスクを上回っており,その使用に疑問の余地はない。一般的に抗血栓療法による頭蓋内出血の危険性は,抗凝固療法では年間0.3~1.2%1,2),抗血小板薬では年間0.2~0.3%3)であり,発症率はそれほど高くないものの出血性合併症が発現すると致命的になることも少なくない。
本稿では,止血・凝固機能障害によりコントロールできない頭蓋内出血,特に脳内出血(外傷性,続発性は除く)における急性期の管理方法および画像診断,塞栓術を含めた手術適応について説明する。
Summary
●病歴聴取,画像診断により抗血栓療法の適応となった背景を把握する。
●症例ごとの抗血栓療法のリバースによるrisk & benefitを把握することが重要である。
●抗血栓療法中の症例は必ずしも外科治療が不適応ではない。
●頭蓋内出血はcriticalな病態であり,止血させることが治療のゴールではない。外科治療を含めて治療戦略を検討し,頭蓋内環境を整えることがゴールである。
Copyright © 2013, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.