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急性血液浄化療法,特に腎代替療法renal replacement therapy(RRT)において,治療によって,どの程度,血液を浄化するのか,すなわち浄化量(dose)は,近年最も注目を集めるトピックの1つである。
一般に浄化量は,透析液流量(QD)と濾過液流量(QF)の和(QD+QF)で表される。したがって,持続的血液濾過continuous hemofiltration(CHF)ではQFを,持続的血液透析continuous hemodialysis(CHD)ではQDを,それらを組み合わせた持続的血液濾過透析continuous hemodiafiltration(CHDF)ではQD+QFを指す。これまで間歇的血液透析intermittent hemodialysis(IHDまたは単にHD)の至適透析量などの研究は,主にクレアチニンや尿素窒素などの小分子量物質の除去効率を問題にしてきた。持続的腎代替療法continuous renal replacement therapy(CRRT)でも浄化量(QD+QF)が同じであれば小分子量物質の除去効率は同等であるため,浄化量が治療強度の1つの指標として考えられている。ただし,中分子量物質の除去については,QFが大きいほど浄化効率が高くなるため注意が必要である*1。
RRTにおいて浄化量が注目されるきっかけは,2000年のRoncoらの報告1)である。Roncoらは,ICUでCRRTを行う際に浄化量を増加させた高流量血液濾過high volume hemofiltration(HVHF)が患者の予後を改善するという無作為化比較試験の結果を報告1)した。以来,HVHFが本当に患者の予後を改善するかどうか,世界中の研究者が研究を行ってきた。
本稿では,血液浄化療法における浄化量に関して,標準的な浄化量からHVHFに至るまでのその背景も含め解説する。
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