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私は米国内科専門医であり,集中治療専門医ではない。しかし現在,内科重症疾患を診療する機会や,各専門科から重症患者の内科的なコンサルトを受ける機会がある。また,米国での3年間の内科レジデント研修中,6か月の集中治療室のローテーションを経験した。それらの経験のなかで痛切に感じることは,内科診断学,特に病歴の重要性である。
系統だった病歴聴取および診療録記載の項目は,表1のとおりである。しかし,日常診療では,表に示されている情報のすべてを収集するわけではなく,状況に応じて必要な情報を入手するようにしている。集中治療を必要とする患者の大半は,救急外来からの入院患者である。救急外来では数多くの患者を診なくてはならず,トリアージ+初期治療にフォーカスを絞っているため,内科医が取る病歴や身体所見と内容が違うこともある。一方,入院患者はさまざまな問題を抱えていることが多く,詳細に病歴を取ることで診断・治療に直結することがある。集中治療室に入室する患者についても,まず患者の状態を安定化させることが先決だが,その後は詳細な病歴を取り直す必要がある。その際に,基本形となる病歴聴取を熟知しておくべきである。
今回の総説では,米国の内科レジデントが集中治療を始めるにあたり,どのようなレベル(情報収集力)で集中治療の管理をしているかを,内科診断学の基本となる病歴にフォーカスを絞り,実際に例を挙げ,そこでのポイントを示しながら展開していくことにする。また,集めた情報を決まった順番に記載し,その後その患者の診療に携わる他の医療従事者に集めた情報が正しく伝わるようにすることも大切である。米国では記載方法が全国どこでも決まっており,欲しい情報がどこにあるか一目でわかるようになっている。記載方法にも言及する。
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