特集 不整脈
2.不整脈診療の基本「心筋とイオンチャネル」
【コラム】Vaughan Williams分類とSicilian Gambit分類
志賀 剛
1
Tsuyoshi SHIGA
1
1東京女子医科大学 循環器内科
pp.690-692
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100145
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Vaughan Williams分類
従来,抗不整脈薬の分類はその電気生理学的特性から分類されたVaughan Williams分類(表1)が用いられてきた。抗不整脈薬は4群に分けられ,Ⅰ群はナトリウム(Na+)チャネル遮断作用,Ⅱ群は交感神経β受容体遮断作用,Ⅲ群は活動電位持続時間延長作用〔カリウム(K+)チャネル遮断作用〕,Ⅳ群はカルシウム(Ca2+)チャネル遮断作用を有する。さらにⅠ群は,再分極過程への影響からⅠa群(活動電位持続時間延長),Ⅰb群(短縮),Ⅰc群(不変)に細分されている1)。この分類は簡便であり,日常診療においても有用である。
しかし,それぞれの薬物の電気生理学的特性の解明と新薬の開発により,多くの抗不整脈薬が複数の作用を有することが明らかになり,細分類が困難であること,また,ジギタリス,アデノシンなど,抗不整脈薬作用を有する薬がことごとく網羅されていないことなど,Vaughan Williams分類には限界がある(表2)。
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