特集 栄養療法
4.侵襲下の内因性エネルギー供給を考慮した理論的エネルギー投与法の提言
寺島 秀夫
1
Hideo TERASHIMA
1
1筑波大学大学院 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻 外科学
pp.423-433
発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100065
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推奨エネルギー投与量を明記したガイドラインが複数存在するものの,その目標とするエネルギー投与量の達成により,予後が改善されることを立証したエビデンスはない*1。また,エネルギー投与量と転帰を検討した質の高い無作為化比較試験(RCT)も,いまだ存在しない現実がある。すなわち,エビデンスに裏打ちされたエネルギー投与法は存在しないのである。適切な栄養療法を立案するうえで,適切なエネルギー投与量の決定は不可欠の条件であるが故,この現実は栄養療法の根幹を揺るがす大問題と言っても過言ではない。この現実を打開するためには,自ら論理的思考プロセスにより思索を進め,必要に応じて適確に文献を選別し,検証を加えながら,理論的エネルギー投与法を導き出すしかない。
本稿の目的は,侵襲下のエネルギー基質動態に基づいて,現時点において最善と表すべきエネルギー投与法を提言することにある。その思考プロセスにおいて,keyとなるのが“内因性エネルギー供給endogenous energy supply”を認識することである。
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