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ICUでの栄養管理については,現在,以下の主要な3団体のガイドラインが発表されている。2009年に発表されたSCCM*1/ASPEN*2の「急性期栄養ガイドライン1)」,2006年に発表されたESPEN*3の「ICUにおける経腸栄養ガイドライン2)」と2009年発表の同じくESPENの「ICUにおける静脈栄養ガイドライン3)」,2003年にCanadian Critical Care Clinical Practice Guidelines Committeeが発表した「人工呼吸器管理下の患者における栄養ガイドライン(CCPG)4)」(2007年と2009年に改定5))である。これらのガイドラインは国際的ガイドライン,適切な最新の論文や総説,専門家の意見や臨床経験などをもとに検討され,栄養管理における基本的な推奨事項を提唱している。
それぞれのガイドラインで対象とされる「ICU患者」と「重症患者」はまったく同じではなく,発表年の違いから参考とした論文が異なることや,各団体の考察の違いから,いくつかの相違がある。ガイドラインが参考としているほとんどの研究では,標本数や患者の不均一性heterogeneity,疾患の定義や重症度が異なり,入院時の栄養状態評価の欠落や統計学的検出力不足などが問題にあがる。可能なかぎりこれらの因子を考慮にいれ,各ガイドラインは,参考とした研究のエビデンスレベルにより推奨度(グレード)を定義している*4。しかし,同じグレードレベル(例えば,SCCM/ASPENとESPENのグレードA~C)でも各ガイドラインによって実際の推奨度が異なることを知っておかなければならない。表1に各ガイドラインの推奨とエビデンスレベルの比較をまとめた。それらの相違も検討しつつ,現時点で推奨されるICUにおける栄養管理について述べる。
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