特集 モニター
9.非侵襲的血圧測定法(NIBP)―欠かせぬモニター故に,その欠点を知ろう
津崎 晃一
1
Koichi TSUZAKI
1
1慶應義塾大学医学部 麻酔学教室
pp.271-277
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100040
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血圧が麻酔・集中治療領域において最も重視されるバイタルサインの1つであることは,言うまでもない。例えば,血液循環に必要な運動エネルギーを供給する心機能が障害された病態は周術期における死亡率の増加と密接に関連する。したがって,循環系モニタリングは,不安定な血行動態の早期発見や加えられるさまざまな治療の評価を行ううえで欠くことのできない手段である。一方,近年における生体モニタリング技術の進歩は目覚ましく,これはさまざまな物理量センサやコンピュータの発展に依存する点が大きいが,生体から得られる一次情報や高次情報は極めて多岐にわたり,複雑化の一途をたどっている。臨床では,これら情報過多による消化不良に陥りやすい傾向も認められるが,基本的なバイタルサインの絶え間ない看視というモニタリングの原点に立ち返れば,患者管理の目標を見失うことはないだろう。
ところで,これらのモニタリング技術は,特に麻酔・集中治療領域において,観血的動脈圧測定や肺動脈カテーテルに代表される侵襲的手段が多用されるが,合併症の可能性や医療コスト増大などの欠点が指摘されている。そこで,本稿では,安全性が高くコストの低い代表的モニタリングとして,非侵襲的血圧測定法non-invasive blood pressure(NIBP)をテーマにその概略を述べる。
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