特集 モニター
【コラム】生体情報モニターのアラームをどれだけ信頼する?
谷本 千恵
1
,
川久保 芳文
2
Chie TANIMOTO
1
,
Yoshifumi KAWAKUBO
2
1徳島県立三好病院 看護局
2徳島県立三好病院 臨床工学科
pp.190-194
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100031
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生体情報モニターとは,心電図や呼吸波形,脈拍,血圧,経皮的動脈血酸素飽和度などの数値を監視して異常時にはアラームで知らせる装置である。近年,そのモニターに関するヒヤリ・ハット報告やアクシデント報告が急増してきた。そのなかからアラームに関係する事例をいくつか以下に紹介する。
【事例①】横浜のある公立病院。脳出血で救急搬送され,1か月以上にわたるICU管理ののちに,やっと状態が落ち着いたということで一般病棟に移った50歳代の男性。しかし,その翌日,10人の看護師がナースステーションにいたにもかかわらず,何度も鳴っているアラームに気づかなかったために心肺停止状態に陥る。この患者は数日後に死亡した。
【事例②】東北地方の大学病院。転落事故で脊髄を損傷し,四肢麻痺と呼吸不全で緊急入院していた80歳代の男性。人工呼吸器の接続が外れたにもかかわらず,アラームに気づかれずに心肺停止に陥った。
【事例③】関東のある公立病院。70歳代の男性患者の心停止を知らせる警告音を看護師3人が「無駄鳴り」と思い込み対応が遅れる。この患者は数時間後に亡くなった。
このように,病棟で看護師がモニターの警告音に気づかずに対応が遅れ,入院患者が心肺停止に至るという事故は枚挙にいとまがない。にもかかわらず,モニターのアラームの発生状況やその信頼性などの実態については十分に検討されていない。本稿では,アラーム内容を検討し発生頻度や心電図での不整脈判定における信頼性の分析について,我々が調べた内容を紹介する。
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