徹底分析シリーズ 脳死ドナーの臓器提供のプロセスと管理—麻酔科医にできること
巻頭言
柴田 晶カール
1
1大阪警察病院 麻酔科
pp.955
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101203058
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今月号の徹底分析シリーズでは,約12年ぶりに脳死ドナーの臓器提供について取り上げる。前回の2012年10月号の特集以後,多方面のたゆまぬ努力により移植医療に対する理解は医療関係者のみならず社会全体でも深まった。2024年9月現在,日本の総脳死下臓器提供数は1100例を超え,臓器提供の体制が整っている全国300以上の施設で年間100例前後の臓器提供が行われるまでになっている。とはいえ移植希望患者の総数は常時16000人以上おり,心不全や呼吸不全などの緊急性が高い病態であっても移植まで数年待機をしなければならないことから,今後の発展が期待される。
多くの麻酔科医にとって脳死下臓器摘出術は馴染みがなく,一生経験することはないかもしれない。しかし“その日”に備えておくことは,人生の最後に臓器提供という尊い意思を示した患者や家族の思いに応えるためにも大切だと思う。
本特集では日本臓器移植ネットワークをはじめ,他部門からわれわれ麻酔科医に期待されていること,手術室マネージメントの観点からできること,脳死ドナーの術前マネージメントについて解説している。実際の脳死下臓器摘出術の呼吸循環管理を任されたとき,本特集を携え,参照しながら挑めるような一冊を目指した。
移植医療に対する理解が少しでも深まれば幸いである。
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