症例ライブラリー 今日もまたいつもの腹腔鏡
原因不明の呼気二酸化炭素分圧上昇と酸素飽和度の低下
山本 純偉
1
Sumii YAMAMOTO
1
1筑波大学 医学医療系
キーワード:
CO2気胸
,
PETCO2
,
肺エコー
,
コンプライアンス
Keyword:
CO2気胸
,
PETCO2
,
肺エコー
,
コンプライアンス
pp.742-745
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202994
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■症例
51歳の男性。身長170cm,体重83kg。胃癌に対して腹腔鏡下胃全摘術が予定された。高血圧で降圧薬内服中。手術歴なし。20歳から手術1か月前まで喫煙20本/日。術前検査では明らかな異常なし。
麻酔管理は,空気,酸素,デスフルランを用いた全身麻酔と胸部硬膜外麻酔とした。従圧式換気(PCV)で吸気圧13cmH2O,呼気終末陽圧(PEEP)5cmH2O,吸入酸素濃度(FIO2)40%で設定した。気腹は10〜12mmHgで行った。
10°の頭高位とし,気腹により呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)が37mmHgから42mmHgに上昇したため,吸気圧の設定を13cmH2Oから17cmH2Oにするとともに,換気回数を10回/minから12回/minに増やした。気腹開始1時間後,PETCO2が39mmHgから47mmHgに徐々に上昇した。カプノグラムの波形に変化はなかった。また,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)が98%から95%と軽度低下したため,FIO2を40%から50%へ上げた。患者の血行動態に変化はなく,手術は問題なく続行され終了した。
術後の胸部X線写真で,右の肺尖部が鎖骨より下にある中程度の気胸が確認された。
どうすればよかったのだろうか?
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