快人快説
費用効果分析研究を読んでみませんか? 前編—医療経済学って?効果の測定のキホンって?
小原 崇一郎
1
Soichiro OBARA
1
1帝京大学大学院 公衆衛生学研究科
pp.695-702
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202977
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はじめに
ランチに出かけ,今日も餃子定食にしようか,いやいや,たまには思い切ってうな重にしようか,でも価格の割にうな重の満足度は低いんだよな,などとサイフの中身と相談しながら悩むことがあります。ランチで選択肢に悩むように,果たして,命や健康にかかわる治療法についても,サイフの中身を考えて選択肢を天秤にかけてよいものでしょうか?
日本の国民医療費の総額は毎年1兆円を超えるペースで増え続け,少子高齢化の進行で現役世代の負担が増大し,いまや国民皆保険制度がどこまでサステナブルなのか疑わしく,いつまでも当たり前にあるとは思えない状況になってきています。そうした医療費増加の原因は人口高齢化が大きな要因ですが,医療技術の進歩によって新しい医薬品や医療機器が開発・普及されてきていることも無視できないとされています。「医療費抑制」を合言葉にしたさまざまな取り組みが活発になされるなか,新しい医薬品や医療機器の価格の適正さを評価する費用効果分析にもとづく医療技術評価を進めていくことが国の方針として定められ,すでに始まっています。
医療・介護で,どうやって費用対効果という物差しを当てるのか? そのキホンのキを一緒に学んでいきましょう。
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