連載 2024のシェヘラザードたち 第4夜
家族に麻酔,できますか?
紙谷 義孝
1
1岐阜大学大学院医学系研究科 麻酔科疼痛医学分野
pp.599-602
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202947
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麻酔科専門医試験の際に,日本麻酔科学会の教育委員長から「自分,または自分の家族の麻酔を任せられるような麻酔科医を輩出したい」と聞いたことがある読者は多いだろう。このような言葉を当たり障りのないお題目と捉えているかもしれない。投げかけている側も,常套句として言っているだけかもしれない。しかし年齢を重ね,患者が自分と同年代や年下であることが増えると,この言葉が現実味を帯びて感じられ,年老いていく自分の親が何らかの疾患で手術室にやって来る可能性に背筋が寒くなる感覚にとらわれるようになっていた。
私は実際に父親と自分の妻の麻酔を自ら行い,自身も患者として手術・麻酔を経験した。その時々に感じたことを話そう。
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