症例カンファレンス
気管膜様部の裂傷に対する気管支鏡下ステント留置
岡野 龍介
1
,
高内 裕司
2
,
内藤 慶史
3
,
木田 康太郎
4
Yuji TAKAUCHI
2
,
Yoshifumi NAITO
3
,
Kotaro KIDA
4
1東京女子医科大学 麻酔科学分野
2大阪はびきの医療センター 麻酔科
3京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学教室
4東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.523-541
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202932
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気管支鏡による検査や処置は,気道に異物が直接進入してくるという手技の性格上,患者にとって大変な苦痛を伴う。よって何らかの麻酔が必要になるが,術者による気道の表面麻酔から麻酔科管理による全身麻酔まで,処置の内容によりさまざまな方法が考えられる。
今回は気管膜様部の裂傷の治療のため,気管ステントを留置する。裂傷のために縦隔気腫や皮下気腫をすでに発症しており,陽圧換気は避けたい。気管挿管をすればチューブが裂傷と近接するためにステント留置の妨げになる。患者の苦痛を和らげようと麻酔を深くすれば,呼吸抑制が心配になる。
そもそも麻酔科医にあまり馴染みのない気管ステントの種類と適応について知らなければならない。そのうえで,酸素化を担保しつつ患者に負担の少ない麻酔をどのように提供するか,うまくいかなかった場合のバックアッププランはどうするか,などについて考察した。読者の皆さんならどのような対応をするか,考えながら読んでいただきたい。
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