徹底分析シリーズ 安楽な手術体位
巻頭言
桐山 有紀
1
1大阪医療センター 麻酔科
pp.555
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202937
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- 文献概要
麻酔を担当する症例の手術体位を,まず確認する麻酔科医は多いと思う。手術体位は麻酔戦略に少なからずかかわってくるからである。では,その手術体位は患者にとって安楽なのだろうか?
普段われわれは,さまざまな生理学的応答のもとに循環呼吸を保ち,日常生活を送っている。麻酔はそれらを抑制するうえ,術式によっては日常ではとり得ない体位が要求されることもある。加えて体位の管理には施設の習慣や執刀医のこだわりがあることも多く,ルートの数や種類,麻酔方法などは上級医から言われるがままに,体位の固定法や除圧,観察などは看護師サイドに任せっきりになっていないだろうか。
普段とは違う“麻酔下”という環境で,体位をとる際に何に注目すべきかを,いま一度しっかり考えたくて,本徹底分析シリーズを企画した。看護師が気にしていること,上級医が考えていること,そして実際にどのように麻酔管理を行えばよいのか,その答えが得られたように思う。
初心に戻って麻酔と術中体位を見つめ直すことで,明日からの体位固定に参加できそうだ。そして,真の意味で“眠らせて何事もなく起こす”腕の良い麻酔科医を目指したい。
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