徹底分析シリーズ どうする? 小児の困難気道管理—学んでおいてよかった,と思えるために
小児の困難気道のcognitive aids—100%の確実がない世界で道に迷わないために
北村 祐司
1
Yuji KITAMURA
1
1松戸市立総合医療センター・小児医療センター 麻酔科・小児麻酔科
pp.1094-1098
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202710
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人間はいつでも100%完璧ではない,という謙虚な思考こそ,困難気道管理difficult airway management(DAM)で最も大切なスタンスだと思う。どんなに経験を積んだプロフェッショナルでも,予測が外れること,判断を誤ること,デバイスの扱いに失敗することなどの可能性はゼロではない。そしてDAMで患者を危機的状況に陥らせる直接的な要因は,そのような過失の類よりも,過信すること,固執すること,プランB/Cをもたないこと,協力を求めないこと,思考停止して判断を遅らせること,学習しないこと,だと思う。DAMガイドライン・アルゴリズムは,途中の不成功が起こり得ることを前提に考案されている点に価値がある。
“cognitive”とは,「頭脳で理論的に考える能力」という意味の形容であり,いわゆる「気分的な」“feel like”とは対極にある言葉である。小児のDAMは,麻酔初心者のみならずプロフェッショナルにとっても100%の確実がない世界の一つだろう。ガイドライン・アルゴリズムをcognitive aidsとして理解し実践することで,小児のDAMはより安全になると信じる。
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