症例ライブラリー 術中の頻脈
術前から原因不明の頻脈を伴った外傷患者
小﨑 吉訓
1
,
内藤 宏道
2
Yoshinori KOSAKI
1
,
Hiromichi NAITO
2
1岡山大学学術研究院医歯薬学域 附属医療教育センター
2岡山大学学術研究院医歯薬学域 救命救急・災害医学
キーワード:
カフェイン中毒
,
薬物中毒
,
トキシドローム
Keyword:
カフェイン中毒
,
薬物中毒
,
トキシドローム
pp.570-572
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202554
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30歳の男性。身長170cm,体重60kg。午前3時,自動車を運転中に電信柱に衝突して右下肢を受傷し,救急搬送された。シートベルトの装着あり,エアバッグの作動あり。最近仕事が忙しく,帰りが遅くなることが多かった。
来院時のバイタルサインは,心拍数(HR)120bpm 整,血圧(BP)140/80mmHg,呼吸数25回/min,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)97%(室内気),体温37.5℃,Glasgow Coma Scale(GCS)14(E3,V5,M6)であった。悪心が強く,嘔吐を繰り返していた。発汗,四肢の振戦を認めた。視診では,右下肢に開放創があり,画像検査では,頭部・体幹の臓器損傷は認めず,右脛骨・腓骨の開放性骨折(Gustilo分類typeⅡ)を認めた。心エコー検査では異常所見を認めなかった。
血液検査では,白血球数(WBC)13000/μL,ヘモグロビン値(Hb)14.8g/dL,血小板数(PLT)25万/μL,血清カリウム値(K)3.0mEq/L,血糖値245mg/dL,プロトロンビン時間国際標準化比(PT-INR)1.1,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)35秒,フィブリノゲン250mg/dLであった。既往歴に特記すべきことはない。
右脛骨・腓骨の開放性骨折に対して洗浄,デブリドマン,創外固定術が予定され,手術室に搬入された。
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